こども環境フォーラム ブログ

こども環境フォーラムは、将来を担うこどもたちが、率先してこれからの環境問題に取り組み、次世代に引き継がれるよう、継続的な環境保全活動をサポートすることを目的に設立された社団法人です。

「第5回 兵庫県こども環境フォーラム」 を開催しました【後半】

6月29日に開催された「第5回兵庫県こども環境フォーラム」の活動報告【後半】です。

ワークショップ終了後は、30分の休憩時間でした。
休憩時間中は、4つのブースをお楽しみいただきました。

★神戸市西区“くすのき農園” 無農薬販売★


★“食のVenus”食育「旬あてゲーム」★


福島県避難“べこっこMaMa”手作り品販売★


★“日本折り紙協会 神戸支部” 折り紙展示・体験★




休憩終了後は、
基調講演
「味覚教育のたいせつさ」

神戸女子短期大学 食物栄養学科 准教授/医学博士(Ph.D
平野 直美 氏


「味覚」は「記憶」であり、家族から愛された記憶や懐かしい故郷の記憶は、 味覚とともに心に刻まれています。私自身も姉の作ったおむすびを食べて、 亡くなった母のことを鮮明に思い出したという経験があります。どんな方に でも同じような体験がおありかと思います。
 このように、「愛情をこめて作られたものを味わうこと」は「愛された記憶」 となるのです。長い目でみると味覚は、栄養うんぬんよりも大切なものであると 言えるのではないでしょうか。

 こどもの味覚は生まれながら持ち合わせているのではなく、育つ環境によって 決定されます。しかもその味覚は、大人になっても変わりません。ファースト フード店がおもちゃ付きの商品に力を注ぐのは、幼いうちから自社製品を「おい しい」と認識させると、そのこどもが大人になってからも同じ商品を買いに来る、 という人間の心理を知っているからです。ですから、大人はこどもの将来の味覚 に大きな影響を及ぼすということを認識しておく必要があります。
 また、こどもは養育者の姿を見て育つため、養育者が「おいしいね」と言って 食べた物をおいしいと感じます。その記憶がその人の「味覚の脚本」となるので、 養育者はこどもにとってふさわしい味覚を形成する環境づくりに気を配っていた だきたいです。 

 味覚教育が進んでいるフランスと比べ、日本は「食を表現する能力」が劣って います。なぜなら、食を表現するトレーニングがなされていないからです。食卓 で「どんな味がしておいしいのか」を会話することができれば、こどもの語彙力 を育むトレーニングにもなります。
 
 「どんな味」なのかを表現するためには、お母さんたちがインスタント調味料 を多用せずに「だし」を手作りし、旬の食材を利用するなど、味が均一にならない 工夫をするべきです。そうすることにより、地産地消につながり環境保全にも貢献 でき一石二鳥です。とご講演くださいました。



基調講演の後は、こどもも楽しめる
食育クイズ & ワークショップ
 ~「びせいぶつの働きから 健康な食文化と農を学ぶ ~

神戸大学大学院 農学研究科 特命助教
NPO法人兵庫農漁村社会研究所 食育研究部[食のVenus】副理事
山下 陽子 氏


地球上には、目には見えない“びせいぶつ”がいっぱいいます。 “びせいぶつ”には、いい菌もたくさんいます。いい菌の働きを学び、 健康な体づくりや暮らしのための食べ方を学びましょう。  土の中にもたくさんの“びせいぶつ”がいて、農産物をバイ菌から 守ってくれています。人間も同じで、体内の10,000,000,000,000個の “びせいぶつ”が、病気にならないように私たちを守ってくれています。  では、この“びせいぶつ”はいつ、どこからお腹の中にはいるのでしょ うか。それは、お腹の中の赤ちゃんが、お母さんの産道を通るときに口か ら入ってきます。そして、私たちが元気に過ごすにはお母さんからもらっ たいい菌を元気にしてあげて、増やすことが大切です。そのためには、 いい菌に大好物を食べさせてあげましょう。いい菌の大好物は、でんぷん や食物センイです。反対に油や肉はいい菌が元気をなくすのでひかえま しょう。


お話のあとは、クイズでした。
どんな食べ物にでんぷんや食物センイが多いのかを学びました。

体の中のいい菌がすみやすいお腹にするには…  
「ま・ご・わ・や・さ・し・い をとりましょう。」

ま・・・まめ
ご・・・ごはん
わ・・・わかめ(かいそう)
や・・・やさい
さ・・・さかな
し・・・しいたけ
い・・・いも

  ↓
ま・ご・わ・や・さ・し・いを
かんたんに食べられる料理は・・・「おみそ汁 と ごはん」
 
               クイズで学んだように、おみそ汁とごはんを食べると、いい菌が元気になります。
こども達も、おみそ汁とごはんを自分で作れるようにしましょう。 とお話をされました。



閉会挨拶
公益社団法人こども環境フォーラム 代表理事
大森 繁夫

「第5回兵庫県こども環境フォーラム」開催のお礼とともに、 2008年に世界21の国と地域のこども達を迎えて開催した「子ども 環境サミット in KOBE」でこども達が提言した「KOBE子ども環境 メッセージ」をいま一度見直しましょう、と述べました。
 その後、今回の発表者3名が登壇し、「KOBE子ども環境メッセー ジ」を読みあげ、会を締めくくりました。



(環境メッセージを読み上げるこども達)


エンディング・ソング
こべっこ少年少女合唱団/ピアノ伴奏:稲月 明子

♪たったひとつの青い星



おかげさまで、大盛況のうちにフォーラムを開催することができました。
多くの方にご協力いただきましたことを、心より感謝申し上げます。

アンケートでは、クイズやワークショップを通して観覧者も参加できる
プログラムが好評だったようです。
私自身も「わたし達の食卓が、日本の環境を左右する」と再認識いたしました。
兵庫県は自然が豊かで、「食」の宝庫です。
県民ひとりひとりが地元食材の魅力に気づき、そこから兵庫の自然や環境について 考えることができれば、豊かな自然をこれからも守っていけるのではないかと 感じました。
来年度の兵庫県こども環境フォーラムもご期待ください!!